【コラム】18打席ぶりのヒットが自身初のサヨナラ打、「攻める気持ちが強い」ロッテのドライチ・西川史礁
歓喜のウォーターシャワーを浴びながら、感情があふれ出した。5月18日の日本ハム戦(ZOZOマリン)、1対1で迎えた12回裏、一死一、二塁とロッテのサヨナラ機で打席に立ったのは西川史礁だった。青学大から2球団競合の末、ドラフト1位でロッテに入団。昨年3月には大学生ながら侍ジャパントップチームに選出されたスラッガーはオープン戦で打率.410をマーク。開幕スタメンをつかむと、一軍デビューから5試合連続安打を放つ。好スタートを切ったが、その後打撃不振に苦しんだ。4月12日に登録抹消。二軍で打率.423と安打を量産して同29日に一軍の舞台に舞い戻ってきたが、この試合前まで17打席連続無安打と音なしに終わっていた。
それでも託されたサヨナラ機での打席。集中力を高めながら、意識を強めたのは己のスタイルを貫くことだった。初球、山本拓実が投じたカットボールが真ん中へ。甘いボールを見逃さず、積極的にスイングすると打球は右中間を真っ二つ。二走・小川龍成がホームを踏み、ロッテがサヨナラ勝ち。歓喜の輪の中心で西川の目は真っ赤に染まった。
「(ウォーターシャワーは)すごく、うれしかったです。つないでくださった皆さんに感謝の思いでいっぱいです。これまでことごとくチャンスをつぶしてばっかりだったので、この1打席にかける思いは本当に強かった。ストライクゾーンに来た球は、どんどん自分の強いスイングで打つことを決めていたので、結果につながって良かったなと思います」
吉井理人監督は西川の代打起用に関して「攻める気持ちが一番強いかなと思った」と、その理由を明かした。苦境に陥っても前を向く。心の強さを持つのが西川だ。安打が出ない日々も「すごく苦しい時間もあったんですけど、そこで自分が折れてしまうと負けだなと思っていました」。絶対打てる時が来る――それを信じてバットを振り込んだ。
球団からの期待の大きさは背番号からも見て取れる。背中で輝くのは『6』。もちろん、その意味を西川自身もしっかり受け止めている。
「重みを感じます。ロッテにとって背番号『6』は本当に特別なものだし、背番号を託してくれた球団の皆さんに感謝しています。大学の先輩である井口資仁さん、かつては落合博満さんなど、すごい方々が着けてこられたので、自分も着けさせていただけることに感謝しています。この番号に恥じない成績を残せるように、もっと練習していきたいと思います」
シーズン前からアピールポイントとして挙げていたのは「どの投手に対しても、強く振ることができる」ことだ。
「右にも左にも打つことができます。思い切りフルスイングしながら、その中でヒットゾーンに打てる柔らかさもある。自分ではそう思っているので、そこを自分の持ち味だと意識して、アピールしていきたいと思います」
プロ初のサヨナラ打をきっかけに、打撃復調を誓う。最下位に沈むチームとともに、浮上の曲線を描いていく。
【文責:週刊ベースボール】